AntigravityとRemotionを組み合わせると、動画の文字起こしからSRT校正、テロップ生成、テストレンダリング、本番レンダリング、SEO情報、サムネイル案までを1本の制作フローとしてつなげられます。ただし、実演では最初から完全自動にはせず、重要なポイントで人が確認しながら進めています。特にSRT校正とRemotionへの受け渡しは失敗しやすく、ルールとテンプレートで工程を固定することが重要です。
AIテロップ制作の全体フロー
今回の実演では、1本のワークフローファイルを中心に、必要な工程ごとに別のスキルやルールを呼び出す構成にしています。
- 動画から文字起こしする
- SRTファイルを作る
- 改行・句読点・表記を校正する
- Remotionへ渡せる状態か確認する
- 10秒のテストレンダリングを行う
- 問題がなければ本番レンダリングする
- テロップ内容からSEO情報を作る
- SEO情報をもとにサムネイル用プロンプトを作る
- YouTube用のタイトル・説明・タグなどへ展開する
工程を1つの巨大プロンプトへ詰め込むのではなく、役割ごとに分けてつなぐのがポイントです。
Whisperで文字起こししSRTを作る
最初の工程は、動画音声からSRT字幕ファイルを作ることです。実演ではWhisperを使って文字起こししています。
ただし、文字起こし直後のSRTはそのまま公開用テロップに使えるとは限りません。
- 1行が長すぎる
- 改行位置が不自然
- 句読点が行末に残る
- 固有名詞の表記が揺れる
- カタカナ・英字表記が統一されない
そのため、文字起こしとテロップ完成の間に「SRT校正」という独立工程を置く必要があります。
SRT校正が難しい理由
10分程度の動画でも、SRT全体をAIへ一気に渡して完璧に直させるのは簡単ではありません。
実演では、Flash系モデルへ全件一括で直させたり、10ブロックずつ区切って確認したりしていますが、ミスが残るケースがありました。
SRTは文章だけでなく、タイムコード、改行、字幕単位、固有名詞など複数の条件を同時に守る必要があります。長尺になるほど情報量が増え、校正コストも大きくなります。
「AIなら全文を一発で直せる」と考えず、SRT校正を独立タスクとして設計する方が安定します。
表記辞書とAIナレッジを一緒に渡す
固有名詞の表記揺れを減らすため、実演ではSRTだけでなく、正しい表記をまとめた辞書ファイルも一緒に渡しています。
たとえば「Antigravityはこの表記に統一する」といった正解例を別ファイルにしておけば、モデル任せの表記揺れを減らせます。
さらに、AIモデルが持つ知識が古い場合に備えて、最新情報をまとめたナレッジファイルも同時に渡しています。
つまり校正時には、次のような材料をセットにします。
- 元のSRT
- SRT修正用プロンプト
- 固有名詞・表記辞書
- 最新情報をまとめたナレッジ
モデルの記憶だけに頼らず、正解を外部ファイルとして与えるのが再現性を上げる方法です。
校正だけ外部AIへ分離する
実演では、Antigravity内だけでSRT校正まで完結させるとコンテキスト消費が大きくなるため、校正用ファイルを外へ出し、Google AI Studioなどで修正してから戻す運用も使っています。
これは「1つのAIですべてやる」より、コストの大きい工程だけ別の環境へ逃がす考え方です。
CursorやCodex系のエージェントなど、制限やコストの異なる環境へ役割を振り分けることもできます。
重要なのはツール名ではなく、どの工程にどのモデルを使うかを決めることです。
本番前に10秒テストレンダリングを入れる
長い動画をいきなり本番レンダリングすると、完成後にミスが見つかったときのやり直しコストが大きくなります。
実演では、本番前に約10秒だけテストレンダリングし、テロップ位置、タイミング、流れる文字の動きなどを確認しています。
テストで問題がなければ、そのまま本番レンダリングへ進みます。
短い試作で失敗を見つけてから、時間のかかる本番処理を実行するのが効率化のポイントです。
Remotionとの整合性を確認する
テロップ用データが正しくても、Remotion側のコードやデータ形式と合っていなければレンダリングは崩れます。
実演では、テロップファイルとRemotionへ渡すデータの整合性確認に時間がかかっています。AIがRemotionの構造を常に完全に理解するわけではないため、外部AIも使いながら何度かすり合わせています。
特に確認したいのは次の点です。
- 字幕の開始・終了タイミング
- 1画面に出す文字量
- テロップ位置
- 表示アニメーション
- 字幕データとRemotion側の読み込み形式
レンダリングが通ることと、見やすい動画になることは別です。最終的には実際の映像を見て確認します。
テロップからSEO・サムネまでつなげる
SRTをきれいに整えた後は、その内容を別工程でも再利用できます。
実演ではテロップ内容をもとに、YouTube用のSEO情報を生成し、さらにそのSEO情報を使ってサムネイル用の構図やプロンプトを作っています。
流れとしては、次のようになります。
文字起こし → SRT校正 → テロップ → SEO情報 → サムネイル案
同じ動画内容を何度もゼロからAIへ説明するのではなく、前工程の成果物を次工程へ渡すことで一貫性を保ちやすくなります。
ルールとテンプレートで出力を固定する
AIは同じ指示でも出力が揺れることがあります。そのため、実演ではSEO情報も毎回自由生成させず、決めたファイルを書き換える形にしています。
エージェント側にも、ワークフロー開始時に必ず読むルールを用意し、セキュリティやファイル操作の禁止事項を先に認識させています。
- 書き換えてよいファイルを決める
- 勝手に削除しない
- 日本語ファイル名の扱いを決める
- 本番前に確認工程を入れる
- SEO情報の出力形式を固定する
- サムネイル用アセットの形式を固定する
高性能モデルへ毎回考えさせるより、低コストモデルでも迷わない仕組みを先に作るという考え方です。
完全自動にせず人の確認を残す
動画では、あえて各工程で確認を挟む運用にしています。
いきなり全工程を完全自動で回すと、SRTの誤り、Remotionとの不整合、SEO出力の揺れなどが後工程へ連鎖する可能性があります。
おすすめは、次のような役割分担です。
- AI:文字起こし、校正案、データ整形、レンダリング、SEO案、サムネ案
- 人:校正確認、テスト映像確認、本番判断、公開判断
完全放置ではなく、壊れやすい場所だけ人がゲートになる構成の方が安定します。
Cursor・Claude Codeなどとの役割分担
実演後半では、AntigravityだけでなくCursorやClaude Code系の環境も併用する考え方に触れています。
同じプロジェクトを複数のエージェントから扱えるようにしておけば、Antigravityでテロップ処理を進めながら、別エージェントではHTMLや別タスクを進める、といった分担も可能です。
ただし、複数エージェントが同じファイルを同時に書き換えると競合するため、担当範囲やルールを明確にしておく必要があります。
AI動画全体をRemotionで半自動化する流れについては、Antigravity×RemotionでAI動画を自動生成した実演記事も参考になります。
まとめ|低コストAIはルールで強くする
Antigravity×RemotionによるAIテロップ制作で重要なのは、強いモデルに一撃で全部やらせることではありません。
Whisperで文字起こし → SRT校正 → テストレンダリング → 本番レンダリング → SEO → サムネイルという工程を分け、それぞれにルールとテンプレートを用意することで、低コスト・高速なモデルでも実務へ組み込みやすくなります。
まずは1本の動画で工程を固め、失敗した箇所をルールへ戻す。その改善ループを積み重ねる方が、最初から完全自動化を狙うより現実的です。


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