私は現在、YouTubeチャンネルの動画をAIで自動分析し、どの動画を改善するべきかを判断する仕組みを作っています。
やりたいのは、単純に「再生数が少ない動画を見つけてタイトルを変える」ことではありません。動画ごとに、なぜ伸びていないのか、どこに問題があるのか、逆に今は触らない方がいいのかまでAIに判断させることです。
この仕組みを作る中で、再生数だけを見ても原因はほとんど分からないと感じました。
同じ1000再生の動画でも、そもそもYouTube上で表示されていない動画と、たくさん表示されたのにクリックされていない動画では、改善する場所が違います。クリックはされていても、冒頭ですぐ離脱されているなら、タイトルより動画内容を見直す必要があります。
そこで現在は、再生数だけでなく8つのデータを組み合わせて、問題がどの段階にあるのかを切り分けるようにしています。
この記事では、私がYouTubeのAI自動改善で何を見ているのか、それぞれの数字を何の判断に使っているのかを説明します。
YouTube動画は再生数だけ見ても「なぜ伸びないか」が分からない
再生数は重要な数字ですが、それだけでは原因まで分かりません。
たとえば、再生数が少ない動画には次のような違いがあります。
- YouTube上であまり表示されていない
- 表示はされているがクリックされていない
- クリックはされているが冒頭で離脱されている
- 検索されている言葉と動画内容がずれている
- 再生数は少なくても登録や収益にはつながっている
これらを全部「再生数が少ない動画」とまとめてしまうと、改善する場所を間違えます。
だから私のAI自動改善では、再生数を結果として見るだけでなく、その前後にあるデータを組み合わせて原因を探します。
検索キーワードから、視聴者が何を求めているかを見る
まず見るのが、YouTube検索から来た視聴者が実際に使った検索キーワードです。
ここを見ると、視聴者が何を知りたくて動画へ来たのかが分かります。
たとえば、自分ではAについて説明した動画のつもりでも、実際にはBという検索キーワードから多く見られていることがあります。
その場合、タイトルや説明文を視聴者の検索意図に合わせられないか検討できます。ただし、検索キーワードだけを見て機械的にタイトルを書き換えるのではなく、動画内容と本当に一致しているかも確認します。
YouTube Analytics APIでは、トラフィックソースの詳細からYouTube検索に使われた検索語を取得できます。
YouTube Analytics API:Dimensions 公式ドキュメント
関連動画から、どんな動画の横で見られているかを見る
次に見るのが、関連動画からの流入です。
YouTubeでは、別の動画を見ている途中や視聴後に関連動画として表示され、そこから視聴されることがあります。
どの動画から視聴者が来ているかを見ると、自分の動画がどんなテーマの文脈で見られているのかを考える材料になります。
私の仕組みでは、検索流入と関連動画流入を分けて見ています。検索で選ばれる動画と、関連動画で選ばれる動画では、改善するときに見るポイントが同じとは限らないからです。
視聴維持から、クリック後にどこで離脱しているかを見る
タイトルやサムネイルがうまく機能してクリックされても、その後すぐに視聴者が離れているなら別の問題です。
そこで見るのが視聴維持です。
YouTube Analyticsでは、動画のどの位置まで視聴されたかを区間ごとに確認できます。私の環境では、動画を100区間に分けた視聴維持データを取得して分析しています。
たとえば冒頭で大きく落ちているなら、タイトルを変えるよりも、動画の入り方や「視聴者が期待した内容をすぐ提示できているか」を確認した方がいい場合があります。
クリック前の問題とクリック後の問題を分けるために、視聴維持は重要です。
チャンネル登録から、再生数だけでは見えない動画の価値を見る
再生数が少ない動画でも、チャンネル登録につながっているなら価値の見方が変わります。
たとえば大量再生されている動画より、特定の視聴者へ深く刺さり、登録につながっている動画の方がチャンネルにとって重要な場合があります。
そのため私は、再生数が少ないという理由だけで自動的に改善対象へ入れないようにしています。
「どれだけ見られたか」だけではなく、「見た人がその後どう動いたか」も見るという考え方です。
収益から、簡単に変更しない方がいい動画を見分ける
さらに、収益を継続的に生んでいる動画は慎重に扱います。
再生数やCTRだけを見ると改善余地があるように見えても、実際には安定して収益を生んでいる場合があります。
そこで私の自動改善では、価値の高い動画を保護する分類を用意し、単純な「数字が悪いから変更」という判断をさせないようにしています。
改善によって伸びる可能性だけでなく、現在持っている価値を壊すリスクも見るためです。
動画の種類を分けて、Shortsと通常動画を同じ基準で比べない
YouTubeには、通常動画、Shorts、ライブなど異なる形式があります。
視聴される場所やユーザー行動が違うため、私は動画の種類も確認したうえで分析します。
たとえばShortsと通常の長尺動画を、同じ再生数や同じ視聴率だけで単純比較すると、改善判断を誤る可能性があります。
そのため、AIへ分析させるときも、まず動画の種類を把握させてから、その動画に合った数字を見るようにしています。
表示回数とCTRから、タイトル・サムネイルの問題を考える
タイトルやサムネイルを変えるか考えるときは、サムネイルがどれくらい表示されたかと、表示されたうちどれくらい視聴につながったかも見ます。
ここで使うのがインプレッションとCTRです。
表示回数は十分なのにCTRが低いなら、タイトルやサムネイルを見直す余地があります。一方、CTRは悪くないのに表示回数そのものが少ないなら、同じ改善をしても問題が解決するとは限りません。
私の仕組みでは、このCTR・インプレッションは通常のAnalyticsデータとは別のReachレポートから取得しています。
この取得経路を分けた理由は、YouTube動画をAIで改善するにはCTRも必要|APIで取得できずに分かったことで詳しく説明しています。
外部のYouTube市場も見て、需要と競合を確認する
自分のチャンネル内の数字だけでは、「テーマそのものに需要があるのか」「今どんな切り口の動画が見られているのか」までは十分に分からないことがあります。
そこで必要に応じて、YouTube上の公開検索結果や競合動画の公開情報も確認します。
ただし、検索結果の順位や検索候補を、そのまま検索ボリュームだとは考えていません。
私が見るのは、どんなテーマや言葉が繰り返し使われているか、どんな切り口の動画が存在するか、最近公開された動画がどの程度見られているかといった市場の仮説を作るための材料です。
自分のチャンネル内の実績で問題を見つけ、外部市場の情報で改善方向を補強する、という使い分けにしています。
まとめ:再生数ではなく「どこで止まっているか」を見る
私がYouTube動画のAI自動改善で見ているのは、主に次の8つです。
- 検索キーワード
- 関連動画からの流入
- 視聴維持
- チャンネル登録
- 収益
- 動画の種類
- インプレッションとCTR
- 外部のYouTube市場
これらを組み合わせる目的は、数字をたくさん集めることではありません。
動画が伸びていないなら、「表示されていない」「選ばれていない」「見始めた後に離脱している」「検索意図がずれている」など、どの段階に問題があるのかを切り分けるためです。
原因が違えば、改善方法も変わります。だから私は、再生数だけでAIに動画を変更させず、複数のデータを見てから判断させるようにしています。
また、CTRなど必要な数字がまだ取得できていない場合は、0として扱わず判断を保留します。この考え方は、YouTubeのAI分析で「まだ取れていない数字」を0と判断してはいけない理由で説明しています。


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